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特例容積率適用地区とは?

今回は区域区分(都市計画法②で解説しています!)の中から『特例容積率適用地区』について解説していきます。
「特例容積率適用地区」とは、都市計画で指定されている地域地区の一つであり、制限いっぱいまで利用されていない建築物の容積を活用するものです。さらに言うと、都心部の高度利用を図ります。他の敷地で未利用となっている容積率を、離れた土地に移転して活用しようとする地区です。(高度利用・・ここでの高度とは、小さな建物ではなくより大きな建物を建てて高次元(ハイレベル)に土地を利用するという意味があります。)
一般的に、容積率の移転は隣接する敷地の間でしか認められていません。しかし、特例容積率適用地区では、その区域内であれば隣接していない建築敷地の間で移転が可能になります。このように余っている余剰容積率は売買の対象となり、これを「空中権売買」といいます。
例えば、都市計画により指定された容積率が500%の敷地が2つあったとき、一方が100%までしか容積率を使っていない場合、移転された他方の建物は容積率が900%建築できます。(特例容積率の指定基準、建物の高さの上限などは定められています。)
また、同じ区域内であれば、容積率を移転する敷地が隣接していなくても、建築敷地の容積率の一部を複数の建築敷地間で移転できます。
容積移転の適用は土地所有者など権利者からの申請に基づいて特定行政庁が指定します。このとき該当する2つ以上の敷地のことを「特例敷地」といい、道路や線路、公園などは特例敷地にはなりません。(上に高く!ということが出来ない。)
この制度の適用例として、2002年に東京都千代田区で「大手町・丸の内・有楽町地区特例容積率適用区域」がある。JR東日本は、東京駅赤レンガ駅舎の容積率の残余を複数の周辺のビルに移転した。これにより、資金が集まり、東京駅赤レンガ駅舎の復元保全に充てることができている。しかし、特例容積率適用地区の適用は、全国のごく一部に留まっています。街づくりが大きく変わるため、そう簡単には適用できないのかも知れません。

【都市計画法第9条16項】
特例容積率適用地区とは、第1種・第2種低層住居専用地域、田園住居地域、工業専用地域を除く用途地域内で、適正な配置と規模の公共施設を備えた土地の区域において、容積率の限度からみて未利用となっている容積の活用を促進して土地の高度利用を図るため都市計画に定める地区です。
【建築基準法第57条の2及び4より抜粋】
特定行政庁は、特例容積率適用地区内の2以上の敷地(特例敷地)に係る土地について土地所有者等の申請があり、一定の要件に該当すると、それぞれの特例敷地に適用される容積率(特例容積率)を指定し、この指定は特定行政庁の公告によって効力を生じます。
特例容積率適用地区においては、建築物の高さは、その特例容積率適用地区に関する都市計画で建築物の高さ最高限度が定められたときは、当該最高限度以下でなければなりません。

2004年の法改正までは商業地域にのみ適用されており、「特例容積率適用区域」と呼ばれていましたが、
第1種低層住居専用地域・第2種低層住居専用地域・田園住居地域・工業専用地域以外のすべての用途地域に適用されることになり、「特例容積率適用地区」の名称に変更されました。

国土交通省の推計によると、2021(令和3)年12月時点のマンション総数(既存中古マンション戸数)は、約686万戸であり、そのうち、1981年の建築基準法施行令改正以前の耐震基準(旧耐震基準)で建設されたものが約103万戸も存在します。
しかし、2022年4月1日時点までに建て替えられたマンションは270戸のみです。(マンション再生協議会HP、国交省資料参照)。
建て替えられた事例を見ると、低層かつ平面駐車場で建てられたために敷地の容積率が余っている建物を建て替えで高層化し、新たに造られた住戸を販売しても採算が合うというものが多く見られます。現状の建物が、建蔽率や容積率がギリギリで建てられていて、建替えの採算が合わない場合などにおいて、特例容積率適用地区制度が適用されることで、建て替えが進むことが期待されています。

広報部 岡谷

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