用途地域とは?①
自分の所有している土地とは言っても何でも好きな建物を建ててよいわけではありません。
例えば、学校と工場とマンションが共存している地域というのは、工場の煙や機械音が住宅や学校にとっては住みにくい街になってしまいます。このようなことにならないために都市計画法では『用途地域』が定められています。
『用途地域』・・・都市計画に基づいて計画的に市街地を形成する目的で、建築される建物の規模や用途を制限するために、都市計画法に基づいて指定されるエリアをいいます(都市計画法8条1項)
(建築される建物の規模や用途を制限→『建蔽率』や『容積率』を指す。)
都市計画法に基づいて、おおむね5年に一度、全国一斉に用途地域は見直されています。
用途地域は住宅系、商業系、工業系など13種類に分類されます。
今回は住宅系について1つずつ見ていきましょう。
【住宅系】
(1) 第一種低層住居専用地域
「第一種低層住居専用地域」・・低層住宅に係る良好な住環境を保護するため定める地域(都市計画法9条1項)
低層住宅のための地域で、ゆったりとした、いわゆる閑静な住宅街です。小規模なお店や事務所を兼ねた住宅、小中学校などが建てられます。
(2) 第二種低層住居専用地域
「第二種低層住居専用地域」・・主として低層住宅に係る良好な住環境を保護するため定める地域(都市計画法9条2項)
第一種低層住居専用地域と同様に、低層住宅に特化した閑静な住宅地の形成を目的としていますが、建築制限が一部緩和されています。小中学校などのほか床面積150㎡までの小規模な日用品販売店舗(コンビニなど)・喫茶店・理髪店などの建築が可能となります。
静かな住環境と利便性の両立を目指したい方にお勧めです。
(3) 第一種中高層住居専用地域
「第一種中高層住居専用地域」・・中高層住宅に係る良好な住環境を保護するため定める地域(都市計画法9条3項)
第一種中高層住居専用地域では、第一種・第二種低層住居専用地域とは異なり、建築される建物に高さ制限は適用されません。
物品販売店舗・飲食店・損保代理店・銀行の支店・大学・病院などの500㎡までの建物が建てられます。
第一種中高層住居専用地域は、住環境の落ち着いた分譲マンションの購入を希望している方にお勧めの地域です。
(4) 第二種中高層住居専用地域
「第二種中高層住居専用地域」・・主として中高層住宅に係る良好な住環境を保護するため定める地域(都市計画法9条4項)
建物の高さなどの制限については第一種中高層住居専用地域と同じですが、第二種中高層住居専用地域では、建築可能な店舗等が床面積1500㎡以下のものまで拡大され、店舗事業の種類に関する制限もなくなります。
第二種中高層住居専用地域は、利便性の高い分譲マンションの購入を希望している方にとってお勧めの地域といえるでしょう。
(5) 第一種住居地域
「第一種住居地域」・・住居の環境を保護するため定める地域(都市計画法9条5項)
住居の環境を守るための地域であり、各種の「住居専用地域」に比べると、より密集して住宅を建築することが可能となります。
ホテル・旅館・ボウリング場・スケート場・水泳場・ゴルフ練習場・バッティング練習場などの遊戯施設も、床面積3000平方メートルまでであれば建築可能です。
第一種住居地域はカラオケボックス・麻雀店・パチンコ店などの建築が禁止されている点が、この後に説明する第二種住宅地域と異なります。
第一種住居地域は、閑静な住環境よりも利便性を求める方に向いている地域といえます。
(6) 第二種住居地域
「第二種住居地域」・・主として住居の環境を保護するため定める地域(都市計画法9条6項)
主に住居の環境を守るための地域ですが商業施設の建設が緩和されたエリアであり、店舗等は床面積10000平方㎡、事務所等は床面積3000㎡まで建築可能です。さらにカラオケボックス・麻雀店・パチンコ店などの建築も可能となりますが、映画館や劇場など人が集まる施設や風俗営業を営む施設などは建築が禁止されています。
第二種住居地域は、住宅と商業施設がかなり混在する地域となっているため、生活利便性を高く追求する方にお勧めです。
(7) 準住居地域
「準住居地域」・・道路の沿道としての地域の特性にふさわしい業務の利便の増進を図りつつ、これと調和した住居の環境を保護するため定める地域(都市計画法9条7項)
建築できる建物の規模は第二種住居地域とほとんど同じですが、車庫や倉庫、さらに小規模な劇場・映画館・演芸場・観覧場の建築も可能となっています。また、道路の沿道では駐車場や小規模な自動車関連施設などが住居と調和しています。
準住居地域は、国道や幹線道路の沿道に当たるため、車移動が多い方や、騒音などが気にならない方に向いています。
(8) 田園住居地域
「田園住居地域」・・農業の利便の増進を図りつつ、これと調和した低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域(都市計画法9条8項)
2018年4月に新しく設けられた用途地域であり、農業用地と低層住宅の共存を図る目的で設定されます。
農業の利便性を図りつつ、住み良い環境が守られています。
田園住居地域では、農地の造成や農地の用途変更の際、市町村長の許可が必要です。
また、住宅については第一種・第二種低層住居専用地域と同様の規制を受けます。
店舗の建築も日用品販売店舗(コンビニなど)・喫茶店・理髪店などに限られますが、加えて農産物直売所や農家レストランなどが建築できる点が特徴的です。
さらに、農産物・農薬などを貯蔵する倉庫や、農産物を生産・集荷・処理する工場も建築可能となっています。
田園住居地域は、農業を営む人が近隣に住居を構えたい場合に適しているといえるでしょう。
用途地域とは?➁へと続く。
広報部 岡谷